- 会期
- 2018年10月18日(木)~11月4日(日)
- 観覧料
- 無料
- 概要
- 一周忌を迎える島田美術館元館長島田真祐を偲ぶものとして、島田につながる先祖の残したものを取り留めもなく飾り、時代を振り返る展示会。島田の父の出征前の妻にあてた手紙や母が息子のために作った手縫いのミット、祖父の明治期の教科書ほか書籍など約150点が並ぶ。
- 作家コメント
- 時代をふりかえる -「御先祖さま展」によせて-
「あなたにしか分からないものだから絶対自分でやるべきよ」と納戸の片付けを夫に言い続けてきましたが「やるやる」と言いながらとうとうやらないままに夫は逝ってしまい、仕方なく「私がやるしかない」という一大決心で納戸に入りました。捨てれないものの方が圧倒的に多いのは最初から分かっていました。それらを右にやり左にやりする中で、まぁよくとってあったものだとしみじみするものがどんどん出てきたのです。
私は昭和生まれです。あの頃昭和は新しいと思って過ごしてきました。けれどこうやって出会う手紙や書付や日記は美しい尊敬語が使われ、とても昭和初期のものだとは思えません。なんとも厳かでまるで江戸時代に迷い込んだように感じてしまいます。納戸に座り込んで平成の世とは一体なんだろうと思わずにはいられませんでした。
夫がずっと追い続けたフィリピンで戦没した義父の品々、祖父や義母の残した当時の教科書や書付に触れるとき、これは夫島田真祐につながるものだと思うと思わず手を止め見入ってしまいます。特に義父の出征前の手紙には、今まで誰もこの手紙を見たことがなかったのですから驚くとともに、家族みんなで泣いてしまいました。
このたびの「御先祖さま展」は、たぶん夫が背中を押してくれたと思っています。諸々出てくるものを取り留めもなく飾り、時代を振り返るとともに島田真祐と先祖の供養に代えさせていただきたいと思います。
島田有子
最終更新日:[2018年10月24日]